iDeCo+導入時の留意事項
○iDeCo+を実施できる事業主の要件や対象となるiDeCo加入者等は次のとおりです。
1.事業主の要件
①企業型確定拠出年金、確定給付企業年金及び厚生年金基金を実施していない、従業員が300人以下の中小企業の事業主はiDeCo+を実施できます。
②事業主が複数の事業所を経営している場合、全ての事業所の従業員の合計が300人以下であることが必要です。
③iDeCo+を導入する際は、あらかじめ「事業主払込」用の登録事業所番号(※)を取得しておく必要があります。
※「個人払込」用の登録事業所番号とは異なりますのでご注意ください。
2.拠出対象者と掛金の設定(原則)、納付方法
①iDeCoに加入している従業員のうち、事業主掛金を上乗せして拠出されることに同意した方が対象となります。
②加入者掛金と事業主掛金の合計額が月額5,000円以上23,000円以下の範囲で、加入者と事業主がそれぞれ1,000円単位で決定できます。
③事業主掛金の額は、基本的に、拠出対象者全員が同額となるように決定します。
④iDeCoに加入していない従業員に対して、iDeCoへの加入を強制したり、事業主掛金のみを拠出したりすることはできません。
⑤加入者掛金を0円とすることはできませんが、事業主掛金が加入者掛金を上回ることは可能です。
⑥加入者掛金と事業主掛金を、事業主がとりまとめて納付します。
⑦拠出開始時期は、従業員への周知や、制度開始の手続に要する期間を考慮して決定します。
3.拠出対象者と掛金の設定(例外)
①事業主掛金は、原則として、iDeCoに加入している従業員で上乗せ拠出に同意した方の全員が同額となるように決定しますが、一定の資格を設けて、該当する従業員のみに事業主掛金を上乗せして拠出することも可能です。
②また、一定の資格を設ける場合は、資格ごとに事業主掛金の額を設定することも可能です。
③一定の資格は、(i)勤続期間、(ii)職種、(iii)労働協約または就業規則その他これらに準ずるものにおける給与および退職金等の労働条件が異なるなど合理的な理由がある場合に区分する資格、に限ります。
④(ii)職種や、(iii)労働協約または就業規則その他これらに準ずるものにおける給与および退職金等の労働条件が異なるなど合理的な理由がある場合に区分する資格、ごとに掛金額を設定する場合は、あらかじめ就業規則などの社内規定等を整備しておく必要があります。
⑤就業規則などの社内規定等を整備する際は、社会保険労務士にご相談ください。
(就業規則等のご相談先の紹介はこちら)
4.労使協議
①iDeCo+の実施及び実施内容等について、厚生年金保険の被保険者の過半数を代表する者(※1)に提案し、協議(※2)を行います。
- ※1 厚生年金保険の被保険者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合になります。
- ※2 これを「労使協議」といいます。
②過半数を代表する者(過半数代表者)の要件は、下記の(i)、(ii)のいずれにも該当する者でなければなりません。
- (i) 管理・監督の地位にある者でないこと。
- (ii) 労使協定の締結等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者で、事業主の意向に基づき選出された者でないこと。
5.労使合意と拠出対象者の同意
①iDeCo+の実施について、厚生年金保険の被保険者の過半数を代表する者の同意を得る必要があります。
②一定の資格を設けて事業主掛金を上乗せして拠出する場合や、一定の資格ごとに事業主掛金の額を設定する場合も、厚生年金保険の被保険者の過半数を代表する者の労使合意を得る必要があります。
③労使合意の後、拠出対象者に事業主掛金の額などiDeCo+の実施内容を通知し、事業主掛金を上乗せして拠出することについて同意を得ます。
6.税制上の取扱い
①iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除として、全額を本人の所得から控除できます。(控除処理は事業主が行うため、加入者本人の手続きは不要です。)
②事業主掛金は、全額を事業主の損金に算入できます。